荻原剛志 著「詳解 Objective-C 2.0」読んだ
だいたいひととおり読んだので感想を。
はじめに
この書籍はObjective-Cの解説としては伝説的とも言える(言い過ぎ)、通称「荻原本」の最新刊です。Objetive-CとCocoaフレームワークによるプログラミングのHowToではない、哲学というか思想というか、デザインを理解する心強い武器となる書籍です。
本書の序文や、ネット上での紹介・感想でも言われているように、AppKitについては少なめです。ただ、AppKitのデザインとしてよく利用される
- ターゲット・アクション
- デリゲート
- 通知
についてはChapter 14「メッセージ送信のパターン」十分に説明されているので、あとはAppleのリファレンスで補足すれば済む話でもあります。
オススメできる理由
今なら手に入る
本書と同じく Objective-C を扱った、荻原さんの「Mac OS X プログラミング入門 Objective-C」(2001年、広文社)や「Objective-C Mac OS X プログラミング」(2006年、ソフトバンククリエイティブ)は、今では大きめの書店でもなかなか見つかりません。これは買えます。
すぐに書店から消えてしまうことの多いMac関連書籍では、重要なことです。
最新のMacOS X 10.5に対応
当然のことながら、Objective-C 2.0/MacOS X 10.5に対応した内容です。Objective-C 2.0での新機能の中でも、特にガーベジコレクションは今までと感覚が異なることが多いようで、本書を読んでいるだけでも「それ罠じゃん!」と思うことがしばしば。
もちろんAppleのリファレンスにもちゃんと書いてあるのですが、この手のものは本のほうが見落としにくいです。
索引がすばらしい
うまく表現できませんが、索引が良いです。
コンピュータの世界では、同じコト・モノを指すのに英語・日本語の混じったりと異なる呼び方のあるものが少なからずありますが、それぞれに索引があったりします。また、ぱらぱら見ながら「採用」とか「out」など気になった語をチェックしてみるという読み方もおもしろいです。
残念ながら、こんな人には向いていません。
- すぐにでもCoreAnimationなどを駆使したきらびやかアプリを作りたい人
- Interface Builderは黒魔術だと悩み続ける人
これらについてはヒレガス本やAppleのサンプルをこなすなど、別のアプローチのほうがよいでしょう。
前の本と比べて
当時(2006年4月 だいたい2年前)の 「エバーグリーンな内容が中心なので、現在読んでも内容が古いと感じることはあまりありません。刊行からだいたい5年たっていますが、これから5年後に読んでもそんな感じでしょう。」 という自分の感想が、まあマチガイじゃないけど、新しいほうを読めば「けっこう変わったねえ」と思うのも事実。Objective-C "2.0" の名に値する変化があったと言えるのかもしれませんね。
「Objective-C Mac OS X プログラミング」のレビュー・感想もどこかに書いた記憶があるのだけど見つからない…